コラム一覧
1.「トレモロ」の話 2.ピックの話 3.「なぜ弾けないのか?」(右手編) 4.「なぜ弾けないのか?」(左手編) 5.「なぜ弾けないのか?」(気持ち編) 6.「なぜ弾けないのか」(和音編~その1) 7.「なぜ弾けないのか」(和音編~その2) 8.「第18回日本マンドリン独奏コンクール」を聴いて 9.音量について~「第19回日本マンドリン独奏コンクール」を聴いて 10.「効果的な練習方法?」 11.「基本練習はどんなことをやっていますか?」 12.レッスンで何を教えているのか? 13.プロとアマの違い 16.面白い質問 17.「教えることは学ぶこと」 18.合奏と独奏 19.続・「トレモロ」の話~スラーとトレモロ
20.いい楽器とは? 21.マンドリン界の七不思議 22.マンドリンに合う曲って?
23.人前で弾くということ 24.続・「基本練習はどんなことをやっていますか?」 25.美しい音色とは? 26.左手とフレットの関係<写真付> 27.トレモロの数について 29.左手小指は使うべきか? 30.とりあえず、マンドリン二重奏やってみませんか?
60.楽器を弾く以前の話
最近、マンドリンを教えていて、よく感じる事があるのです。
マンドリンを弾く前に知っておくべき事があるのではないか、という事。
当コラムの「52.楽譜の読み方」にも書いた事なんですけど、あまりにもマンドリンを弾く事ばかり考えていて、 それ以前の音楽の基礎的な知識が欠けているのではないか?
始めたばかりの初心者は知らなくても当然ですが、ベテラン(この言い方が適切かどうかは疑問)の方で、こういう知識が無く、 さらに知識を得ようともしない人には、悲しくなってしまいます。
別に、key(調)がト長調とかホ短調とか知らなくても、なんとな~く弾けるんですけどね。
マンドリンを弾くという事は、マンドリンという楽器を使って音楽を表現するわけです。
技術的なものはもちろん必要ですね、技術がないと音楽を表現できませんからね。
しかし、音楽理論とまでは言いませんが、最低限の楽典的な事は知っておくべきだと思います。
そう、別にそんな知識はなくても、弾けると言えば、弾けるんですけどね。
プロフェッショナルとかアマチュアとか、楽器を弾くのが上手い
59.トレモロが出来ない
初心者でもなく、マンドリンを長い事やっているのに、トレモロが出来ない、出来なくなった、というときがありませんか?
そのような場合、以下のようなケースが考えられます。
①家で独りで弾いているときは出来るのに、レッスンや人が集まる合奏の練習会場に行くと、トレモロが出来ない。
②練習やリハーサルでは弾けるのに、本番になると、トレモロが出来ない。
③根本的に、トレモロが出来ていない。
①と②に関しては、単純にトレモロの練習不足かもしれません。
ただ、練習不足の一言で片づけられると困るんですけどね。
まずは、トレモロという行為は非日常的な運動(作業)であるということを認識しましょう。
ということは、その運動に慣れないといけない、すなわち、トレモロだけの練習をしないといけないということになります。
中学生位からマンドリンを始めた方で、本番中にトレモロが出来なくなった、という話はあまり聞いたことがありません。
それはたくさんの時間を使って、この非日常的な運動を若いうちに身につけているからなんでしょうね。
たしかに、トレモロって、
58.視線
これは当コラムの「31.なぜ、間違えてしまうのか?」にも書いているのですが、最近、教えていても、 自分自身が弾いているときも、その重要さを痛感しているので、改めて書きます。
ここでいう「視線」とは、楽譜を見て弾く時の視線です。
私の場合、ソロ(伴奏付き、無伴奏に関わらず)のときでも、暗譜が出来ないので、楽譜を見ながら
弾いていますが、ちょっとだけ先(例えば、今弾いている次の小節とか)を見て弾くように心がけています。
よく「現在、過去、未来」と言いますが、時間経過の芸術である音楽には「現在」と言っている時点で
すでに「過去」になっているので「現在」は存在せず、「過去」と「未来」しかないのです。
ということは、現在弾いている音符を見ていても、それは過去を見ている、確認作業にしか過ぎないのです。
過去を反省することはたしかに大切なことですが、それは全てを弾き終えてから振り返れば良いことです。
演奏中に確認することはありません。
特に楽譜の段が変わる時や、ページが変わる時は距離が大きいため、視線を移しても、間に合いません。
段が
57.スタッカートとピッキング
マンドリンの奏法には大きく分けると、かつては単打(野球みたいだ)といわれた「ピッキング」と、そのピッキングの連続である「トレモロ」という2つの奏法がありますね。
いまだに「トレモロはピッキングの連続じゃ、無ぁ~い!」と言う方もいらっしゃいますが。。。
それはさておき、その「ピッキング」を「スタッカート」ともいうわけですが、音楽上の<スタッカート=音を短く(およそ半分の長さに)切る>とは異なることも多いのです。
マンドリンのために書かれた楽譜の音符にスタッカート記号=「・」記号 が付いているときはほとんどの場合、トレモロはしま せん。「・」記号が書いてあれば、ピッキングという風に読みますね。
ただし、長い音符だったら「トレモロでスタッカート」すなわち「トレモロで音を短く弾く」ということもあります。
そこで、その「ピッキング」に「・」記号が付いている場合、その音符を音楽的にスタッカートする=音を短く切るのか? 単に ピッキング(で音を伸ばす、音は短く切らない)の意味なのか?というところが悩むところなんです。
また、作曲者や編曲者によ
56.マンドリン独奏について~無伴奏マンドリン~
当コラムの「30.とりあえず、マンドリン二重奏やってみませんか? 」と重複する部分もあるかと思いますが、今まで、 書けそうで書かなかったマンドリン独奏について、改めて考えてみようと思います。
まず、マンドリンのソロ(独奏)って言うと、皆さんは全く独りで弾く「無伴奏マンドリン」のことを考えていませんか? なぜ、マンドリンをギターと同じような独奏楽器と考えるのかしらん?
同じ撥弦楽器だから? マンドリン合奏で一緒に弾く楽器だから?
気のせいでしょうか、マンドリン・ソロって全く独りで弾くもの=無伴奏 だと認識(誤解?)している人も多いような。。。。
ここまでギターが普及しているのは、根本的に「(伴奏なしで)独りで弾ける楽器」であるということが大きな要因のひとつ ではあると思います。ピアノなどももちろん、そうですね。
さらに、これらの楽器のために書かれた独奏曲は、初心者から弾けるやさしいものから山のようにたくさんあるわけです。
それでは、マンドリンはどうでしょう?
たしかに「独りで弾ける楽器」ではありますが、「独りでも弾ける楽器」
55.マンドリンアンサンブルについて
●アンサンブルって?
マンドリンのアンサンブルって、ざっくり言うと「指揮者がいない少人数による合奏」ということかもしれません。多くの場合、各パートが一人か二人で、基本的に指揮者は置かず、おもにファースト(マンドリン)奏者がその代わりをします。パートひとりということは、実質ソロと同じで「独奏の要素を多く含んだ合奏形態」といえるでしょう。私的にはアンサンブルは、マンドリンの魅力をもっとも発揮できる演奏形態のひとつだと思っています。
●提案
1.各パート間の音量のバランスは、弾いている本人にはわかりにくいものです。p(ピアノ)やf(フォルテ)も個人差がありますし。音楽的に見識のある第三者に聴いてもらうと良いかもしれません。ただし、奏者から少し離れた場所から。
2.「ファースト(マンドリン)」は、野球に例えるとピッチャーみたいなものです。もちろん、野球も1チーム9人いないと出来ないものですが、アンサンブルにおいてもエース的立場でチームを引っ張っていきましょう。また、エースのミスは他の奏者が笑顔でフォローしましょう。アンサンブルで一番大切な
54.マンドラはおいしい?
2009年1月、師匠の還暦記念コンサートで私はマンドラを弾きました。
発表会で生徒さんの伴奏で弾くことはあるものの、本格的な演奏会でマンドラを弾いたのは久しぶりでした。
実は私、高校、大学と、合奏では、ずっ~とマンドラを弾いておりました。
独奏を始めた時も最初はマンドラで弾いていたのですが、さすがに無伴奏曲の複雑な曲になってくると和音は指が届かない。そこで、マンドリンを本格的に始めました。大学4年生のときです。
それでも、大学のクラブの合奏ではマンドラを弾いていました。
一般的にマンドラからマンドリンに転向すると、左手が大変と思われるようですが、私の場合、右手のタッチというか、振り幅に苦労した記憶があります。
「マンドラはおいしい。」とはよく言われることですが、たしかに合奏を楽しむには「おいしい」パートだと思います。
その理由は、曲中最低でも1回はメロディーが出てくる、オブリガートや裏メロもある、リズムを刻むときもあれば、 他パートのメロディーとハモるときもある。
かたや消極的な理由としては、中低音という音域のため、間違え
53.第21回日本マンドリン独奏コンクールを聴いて ~音楽的な基礎と個性~
2008年10月26日(日)に静岡音楽館AOIで行われた「第21回日本マンドリン独奏コンクール」を聴いてきました。 これは2年に1回、日本マンドリン連盟(JMU)主催により行われる独奏家への登竜門ともいえる全国コンクールです。
今回は中部地区担当ということで、JMUの中部支部の皆さんには大変お世話になりました。
各地区の予選を勝ち抜いた17名により、午前中から2次予選。
2次予選は、ベートーヴェン/アンダンテと変奏(ピアノ伴奏付)、寺嶋陸也/雨の日(無伴奏)
という2つの課題曲(演奏順番は自由)の演奏だけで審査されます。
その中から上位6名が夕方からの本選に進みました。
本選は15分以上20分以内の自由曲(曲数も自由)のみで行われます。
そのため、本選はちょっとしたガラコンサートのような感じです。
17名もいれば、いろんな演奏があって当然なのですが、今回私の感じたことは以下のようなことです。
●ミスタッチではなく、音符の長さに読み違いがある人もいました。
●単音(ピッキング)で一切、ヴィブラートをかけない人がかなりいま
52.楽譜の読み方
当たり前のことですが、大人になって初めて楽器を始める方、いわゆる大人の初心者には楽譜の読み方がわからない人が 多いです。
子供の頃、授業としての「音楽」の時間はあったけど、部活の経験もなく、幼少期にピアノなどの楽器に縁が無かった人は、 楽譜をどのように読んでいいのかわからない。
生まれつき楽譜が読める人なんていないわけですから、どこかで勉強するわけですが。
というわけで今回は、譜読み(音取り)の基本的な方法について書きます。
①何調か? keyは何?ということです。
明るい曲調の長調で、♯ひとつならト長調(G)、ふたつならニ長調(D)とか。
暗~い感じの短調だったら、♯ひとつならホ短調(Em)、ふたつならロ短調(Bm)とか。
②何拍子か?
曲の始まりは1拍目から始まる強起か? 1拍目以外から始まる弱起か?
これによって予備拍の数え方も変わってきます。
3拍子の予備拍で「さん、し!」なんて、あり得ませんからね(「にぃ、さん」が正解)。
「せ~の~!」で始めたら同じなんですけどね。
③速度は? Largo とか All