56.マンドリン独奏について~無伴奏マンドリン~
当コラムの「30.とりあえず、マンドリン二重奏やってみませんか? 」と重複する部分もあるかと思いますが、今まで、
書けそうで書かなかったマンドリン独奏について、改めて考えてみようと思います。 まず、マンドリンのソロ(独奏)って言うと、皆さんは全く独りで弾く「無伴奏マンドリン」のことを考えていませんか?
なぜ、マンドリンをギターと同じような独奏楽器と考えるのかしらん? 同じ撥弦楽器だから? マンドリン合奏で一緒に弾く楽器だから? 気のせいでしょうか、マンドリン・ソロって全く独りで弾くもの=無伴奏 だと認識(誤解?)している人も多いような。。。。 ここまでギターが普及しているのは、根本的に「(伴奏なしで)独りで弾ける楽器」であるということが大きな要因のひとつ
ではあると思います。ピアノなどももちろん、そうですね。 さらに、これらの楽器のために書かれた独奏曲は、初心者から弾けるやさしいものから山のようにたくさんあるわけです。 それでは、マンドリンはどうでしょう? たしかに「独りで弾ける楽器」ではありますが、「独りでも弾ける楽器」という風に考えた方が自然ではないでしょうか? 独奏楽器として考えるとマンドリンはギターよりも、むしろ、ヴァイオリンに近いと思うんです、4コースという弦の数からも。
ただ、弦を擦るのではなく、撥(はじ)くという点から見ると、ヴァイオリンとギターのハーフ的な楽器かもしれませんね。 一般的には、マンドリンの場合はソロ(独奏)といっても、伴奏付きのソロが普通であると考えていただいた方が良いと思います。 そういうわけで、無伴奏マンドリンって特殊なジャンルだと思うんですよ、私は。 もちろん、私も無伴奏曲も弾きますが「こんな世界もありますよ」的な、マンドリンは合奏やアンサンブルだけではない、
無伴奏という違う一面も紹介するような感じで演奏しています。 余談ですが、依頼先から、予算が無いので「ひとりで=無伴奏で」とリクエストされることもたま~にありますが、基本的には
ひとりではなく、ピアノやギターの伴奏者(共演者)を伴うわけです。 このように書くと誤解されそうですが、無理に無伴奏を含む独奏(ソロ)をやることは無いと思うんです。 「この曲、弾いてみたい! 弾きたい!!」と思ったら、それが独奏曲だったらソロをやるし、合奏曲だったら合奏をやれば
いいと単純に思います。(独奏曲が合奏曲に編曲されている場合も、その逆もありますが。) 別にマンドリンが上手いからソロをやるとか、上手くないからソロは出来ないとか、そういう問題ではないんです。 たしかに、無伴奏独特の技術や弾き方はありますが、最初に興味や関心が起きなかったら、その楽曲を弾きたいとは思わないでしょう? そのためにも独奏を弾く数少ない人間は、少しでもマンドリンのソロに興味を持ってもらえるような演奏をしなければいけない、と肝に銘じて日々精進しなければならないと痛感するのです、多少大げさですが。。。。 私が独奏を始めた頃(四半世紀前)は、無伴奏曲自体が少なく、弾ける数も限られていましたが、最近では若い作曲家の、
若い人も共感出来るような作品も増えてきましたので、絶対数が少なかった無伴奏曲の選択肢が拡がりましたね。 ところで、「なぜ、マンドリンの独奏を弾く人が少ないのか?」とよく聞かれますが、ただでさえ少ない全てのマンドリン人口からすると、健全な(?)割合なのかもしれませんね。