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58.視線

これは当コラムの「31.なぜ、間違えてしまうのか?」にも書いているのですが、最近、教えていても、

自分自身が弾いているときも、その重要さを痛感しているので、改めて書きます。 ここでいう「視線」とは、楽譜を見て弾く時の視線です。 私の場合、ソロ(伴奏付き、無伴奏に関わらず)のときでも、暗譜が出来ないので、楽譜を見ながら 弾いていますが、ちょっとだけ先(例えば、今弾いている次の小節とか)を見て弾くように心がけています。 よく「現在、過去、未来」と言いますが、時間経過の芸術である音楽には「現在」と言っている時点で すでに「過去」になっているので「現在」は存在せず、「過去」と「未来」しかないのです。 ということは、現在弾いている音符を見ていても、それは過去を見ている、確認作業にしか過ぎないのです。 過去を反省することはたしかに大切なことですが、それは全てを弾き終えてから振り返れば良いことです。 演奏中に確認することはありません。 特に楽譜の段が変わる時や、ページが変わる時は距離が大きいため、視線を移しても、間に合いません。 段が変わる前に視線を次の段に移しておくことが、ミスを減らすためのポイントです。 ただし、これも普段から習慣づける事が大切で、繰り返し弾くこと(これを俗に練習という)が必要です。 「なぁんだ、結局は練習しないといけないんだぁ~。」ということなんですが、弾いているときの視線を 少しだけ変えることで練習の質も変わり、合理的な練習が出来ると思うのです。 私の場合、ある程度、曲が弾けてくると「視線」の練習を意識的にやっています。 もちろん、難しい箇所などは左手を見て弾くのですが、このときも、どのタイミングで楽譜に視線を戻すか? という事も決めて練習します。


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