53.第21回日本マンドリン独奏コンクールを聴いて ~音楽的な基礎と個性~

2008年10月26日(日)に静岡音楽館AOIで行われた「第21回日本マンドリン独奏コンクール」を聴いてきました。

これは2年に1回、日本マンドリン連盟(JMU)主催により行われる独奏家への登竜門ともいえる全国コンクールです。 今回は中部地区担当ということで、JMUの中部支部の皆さんには大変お世話になりました。 各地区の予選を勝ち抜いた17名により、午前中から2次予選。 2次予選は、ベートーヴェン/アンダンテと変奏(ピアノ伴奏付)、寺嶋陸也/雨の日(無伴奏) という2つの課題曲(演奏順番は自由)の演奏だけで審査されます。 その中から上位6名が夕方からの本選に進みました。 本選は15分以上20分以内の自由曲(曲数も自由)のみで行われます。 そのため、本選はちょっとしたガラコンサートのような感じです。 17名もいれば、いろんな演奏があって当然なのですが、今回私の感じたことは以下のようなことです。 ●ミスタッチではなく、音符の長さに読み違いがある人もいました。 ●単音(ピッキング)で一切、ヴィブラートをかけない人がかなりいました。逆にヴィブラートをかける人はほんの数人でした。ポーズだけでもやればいいのに、と思いました。 ●課題曲のベートーヴェンの速度に適切ではないと思われる人もいました。 ●同じく、ベートーヴェンは変奏曲なのですが、変奏と変奏の間(ま)が妙に長く、変奏曲としての形を成していない演奏も

ありました。 ●ベートーヴェンの装飾音も、人によりまちまちでした。古典の装飾音は現代のそれとはタイミングが異なるのでは? ●また、16分音符をすべてダウンで弾いている人も多かったです。「別に弾ければいいじゃない、ダウンで弾ける速さだし。」

と言われれば、そのとおりなんですけどね。 ●もう一つの課題曲「雨の日」の冒頭はピアニシモなのに、フォルテにしか聴こえない人もいました。 無伴奏曲はどうしても全体的に音量が大きくなり、平坦な演奏になってしまうケースも多いですね。 ●同曲でスタッカート記号を単純にピッキングで伸ばして弾いている人もいました。この作品の場合は本来の音楽上の

「音を短く切る」という意味のスタッカートだと私は思いますが。 ●パフォーマンスという点では、うつむいたまま岩のように動かない人、一方で観客にとっては無意味としか思えないような

不自然な動き、変わった表情で弾いている人、いろいろいました。 パフォーマンスも多少は必要だと思いますが、どうなんでしょう? ●2次予選を通過した6名の方たちはいずれも個性豊かな演奏でした。 ある程度、楽譜通りにきっちり(マジメに?)弾いた方で、本選には進めなかった方もいました。 私的にはコンクールだから、そういう方を通して欲しいとは思うのですが、いろんな審査員がいて、それがコンクールといえば

コンクールですから(審査員を批判しているわけではありませんよ、念のため)。 コンクールにおいて個性というものは障害にもなるし、武器にもなるんだなぁ~というのが私の正直な感想です。

もちろん、音楽的な基礎がある上での個性ですが。 また、極端にいえば、基礎(基本)が出来ていなくてもマンドリンは一応弾けますが、音楽的には弾けない、本物の音楽には

なりえないということも強く感じました。


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