27.トレモロの数について
皆さんはトレモロの数を数えて弾いていますか? 現状では、ある特殊なメソッドでマンドリンを習得した方以外は数えていない人がほとんどですね。 私自身も、いつもいつも数えて弾いているわけではありません。 ただ、数えて弾いた方がよりよい結果を生むこともあるんです。 例えば、アレグロで四分音符=144~160ぐらいのときにトレモロの指定がある場合、十六分音符の連続で弾きますね。
つまり四分音符に音4つですね。 これを私は「四分音符にトレモロ2回」と言います。すなわち、トレモロが2回だったら、出てくる音は4つということになります。「出てくる音が4つ=トレモロ4回」という方もいるみたいですが、私は「トレモロは連続音であるから、トレモロの数は出てくる
音の半分」で記します。ですから、「トレモロの数=音の数」ではありませんので、ご注意を。 トレモロの数と音の数の関係は以下のようになります。 トレモロ 1回=音の数2つ トレモロ1.5回=音の数3つ トレモロ 2回=音の数4つ トレモロ2.5回=音の数5つ トレモロ 3回=音の数6つ ・・・・・・というふうに。 このとき、音のスカスカ感を解消しようと、無理して音をひとつでも多く弾こうとすると、演奏に破綻が生じることが多いですね。また、四分音符が「十六分音符のただの連続」に聴こえてしまわないように、トレモロの最初の音を軽ーく強めに弾くといいですね、ちょっと難しいですけど。アクセントというほどではないんですが、ピックを持つ右指先に、ほんの少しだけ力(ちから)を入れて。 次に、四分音符=120ぐらいのとき、右腕が速く動く人はトレモロ3回入れたがります。 つまり、音は6つ=6連符ということです。普通というか、多くの人はこの速さでしたら音は5つ=5連符なんですね。
トレモロの数は2.5回ということになります。 しかし、場合によってはガンバってトレモロ3回やらないといけないときもありますけどね。 こういうときに、5連符で弾く人や6連符で弾く人が混在するとガチャガチャ聴こえてしまう。 大合奏だとそんなにわからないと思うんですが、少人数のアンサンブルなどでは、私はトレモロの数=音の最小単位は揃えた方がいいと思います。 また、音の数が奇数個の場合、移弦のときに気をつけないといけません。 移弦はダウンで移った方が弾きやすいのですが、奇数個だとダウンでその弦が終わり、アップで移弦しないといけませんから。こんなときは、自分が今トレモロいくつで弾いているのか知っているといいですね。音の数が奇数個だから、アップで移弦しているから弾きにくいんだなぁ~とか、わかりますので。 かつては「トレモロは速ければ速いほど良い、きめ細やかで美しい」と教えられてきたからか、昔の人ほど速いトレモロの人が多いですね。(私は滅茶苦茶速いトレモロを「機関銃トレモロ」と呼んでいます。)
今では、音を響かせることに重点を置かれているので、トレモロも速ければ速いほど良いという風潮は廃れてきたように思います。トレモロも速すぎると、その弦が響こうとしているところをまた弦を叩くことによって響きを止めてしまうんですね。
かといって、遅すぎるトレモロだとそれこそ「十六分音符のただの連続」みたいに聴こえてしまい、困ってしまうのですが。 トレモロはある一定の連続運動ですが、曲やフレーズによって、右手がいろんな速さで動かせるようにコントロール出来ることが大切ですね。