5.「なぜ弾けないのか?」(気持ち編)
この「なぜ弾けないのか?」シリーズ、もしかしたら、これが一番厄介なのかもしれない「気持ち編」。 すなわち、「精神論」であります。主に、マンドリンの独奏あるいはパートひとりのアンサンブル上でのお話です。 私も若い頃は「精神論」的な話は苦手でした。なんだか、ジジ臭くて。 でも、演奏も最後は強い精神力なんですね、やっぱり。 本番って緊張しますよね。多かれ少なかれ個人差はあるけど、緊張しない人はこの世に存在しないと思います。30年ほど前、初めて、プロのような(ご本人はアマチュアであることを強調していました)マンドリンソリストに接したときのお話。 本番前、「緊張しませんか?」とお尋ねしたところ、「いいや、全然緊張せーへん!」。 当時の私は「さすがだなぁ~。やっぱり、上手い人は違うんだなぁ~。」と妙に感心した記憶があります。でも、彼の顔面は緊張のためか興奮して真っ赤でしたけど。 今思うと、おそらく彼は緊張を隠そうと、あるいは、自分は緊張していないと自分に言い聞かせていたんだと思うんです。 良い演奏をするためには、リラックスすることと同時にある程度の「緊張感」は必要なものなんです。 その「緊張」が「萎縮」に変わるとマズイんです。縮こまってしまわないように、たくさんたくさん練習するんですね。これを俗に「心のお守り」と言います。「自分はあれだけたくさん練習したんだから、弾ける!」という自信をつけるんですね。 これまでに「なぜ弾けないのか?」を具体的に肉体面から考えてきましたが、 この「自信」が一番必要なことなのかもしれないと思うことが最近では多いです。 「身体と心のバランス」ってやつですね、演奏も。 あと、本番独特の空気の中で慣れていくことも必要ですね。「100回の練習より、1回の本番」ということです。もちろん、たくさん練習した上での本番、ということですよ。 そして、最後の最後に自分に言い聞かせること・・・ 「自分が上手く弾こうと下手に弾こうと、命に関わるようなことはないんだから。。。」