1.「トレモロ」の話
「マンドリン」というと、「トレモロ」を連想される方も多いと思います。 たしかに、トレモロはマンドリンの特徴的な奏法のひとつではありますが、 「すべて」ではありません。
トレモロ奏法が一般的に広まったのは19世紀中頃だといわれています。 1778年、フランスの作曲家A.E.M.グレトリーのオペラ「嫉妬深い恋人」のセレナーデ「皆が眠っている間に」
という曲に見られる(8分音符を32分音符で刻む)ものがトレモロの最初のものといわれています。
その後、ロマン派の時代になると、メロディーの音価が長くなり「細かい音符の連続により、 つながったひとつの音のように聴こえさせる」トレモロが一般的になりました。 「トレモロはピッキング(ダウンとアップ)の延長である。」「ピッキングが速くなったものがトレモロ。」 という今ではあまりにも当たり前のことが意外とわかってない人が多いような気がします。 初心者ではなく「トレモロが出来ないんです。」と言ってレッスンにこられる方は大概そういう方々です。 右腕の奏法(動かし方)にも問題があるのですが、まずは意識の問題。
ピッキングを徐々にスピードアップしてトレモロの速さまで持っていく。
右手を自分の意思の元に自由な速さで動かせるかがポイントです。
本番などで緊張してると、ムズカシイんですけどね。ただし、単純にピッキングを速くするだけのトレモロでは
(悪い意味での)デジタル臭い演奏になってしまいますね。 トレモロを使用する上で、音の最小単位を決めて弾くことは大切ですが、血の通った演奏にしたいものです。 トレモロは特殊技術ですから、日頃からトレモロだけの練習も欠かさずにやらなければと、 この歳になって痛感します。